自立した生活を補助する福祉用具「自助具」とは?種類と選び方
「自助具」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
自助具は身体が不自由な方が日常生活で行う作業を自分自身で行えるよう手助けするための福祉用具のことです。
このページでは、日常生活で利用されている自助具の種類や活用方法をご紹介します。
自助具とは
自助具とは心身機能や身体構造上の理由で日用生活に困難を持っている動作を
できるだけ自分自身で容易に行うことができるように補助し、日常生活を快適に送ることができるよう、
特別に工夫がこらされた道具です。
自助具は食事に関する道具を始めとして、身だしなみや着替え、入浴、家事に関する道具など、あらゆるものがあります。
自分自身ではできないと諦めてしまっていたり、人に頼っていたころが自助具を使って自分でできるようになると
生活の幅が広がるだけでなく、精神的にも積極性が現れるなど、自立生活を高める効果が期待できると言われています。
自助具の種類
自助具は生活シーンごとにさまざまなものがあります。
まずは自助具にはどんなものがあるのか、代表的なものをご紹介します。
食事用自助具
食事は多くの方にとって楽しみの1つです。
身体が不自由な方でも自分のペースで自由に食事ができることは重要です。
食事用の自助具には指を思うように動かせない方でも持ちやすいように工夫されたお箸や、
握る力が弱い方でも持つことができるスプーンや、倒れにくい茶碗等があります。
入浴用自助具
浴室での入浴動作は立ち座り、湯船を跨ぐ、お湯に浸かるといった身体的に負担となる動作が多くあり、
また転倒事故が起こりやすい場所です。
足腰に不安がある方をサポートするのが手すりやシャワー椅子などです。
入浴用の自助具を使って自分でできることが増えると、安全に入浴できるだけでなく、
介助者にとっても負担が軽くなったり、普段は介助者がいる日中に入浴していたのが
夜に入浴できて安眠効果を促進できるなど、メリットがたくさんあります。
トイレ用自助具
排泄はデリケートな部分ですので、できるだけ自力でトイレを済ませたい、という方は多くいらっしゃいます。
トイレで使う自助具は立ち座りを容易にするように高さを出せる便座カバーや
片手だけで使用できるペーパーホルダーなどがあります。
更衣用自助具
着替えは毎日行いますので着替えにかかる負担や時間はなるべく抑えたいところです。
着替えを手伝う更衣用自助具にはボタンエイド、ソックスエイドというものがあります。
ボタンエイドはボタン掛けをサポートする道具、ソックスエイドは腰や腕、
足が曲がりにくい方でも1人で靴下をはくのをサポートする道具です。
特に麻痺がある方やリウマチがある方にとっては便利な道具です。
整容用自助具
「整容」とは身だしなみのことで、歯磨きや爪切り、整髪などのことを指します。
片手で使える爪切りや、手を高く挙げなくても使える櫛や歯ブラシなどで動作を楽にすることができます。
身だしなみを整えることは病気や認知症の予防だけでなく、活動性の保持に繋がりますので重要な自助具です。
自助具の購入方法
自助具は介護用品ショップや福祉用具を取り扱うお店、
またはインターネット販売を行っているショップから購入することができます。
また、自助具としては販売されていない一般的な道具の中にも自助具として利用できるものが多くあります。
発想を変えて本来の使い方以外の方法を試してみることで利用する方の生活に活用できることもあります。
安全性を重視しつつ、柔軟な発想で探してみると良いでしょう。
また、病院や施設などでは作業療法士が制作していることもあります。
自助具の選び方のポイント
食事用自助具の選び方
スプーンやフォークは握って使うのか、手にはめて使うのか、使う人に合った大きさと重量か、
すくいやすいか、口元に食べ物を運びやすいかなどをチェックします。
箸は握りやすさや小さなものでも掴めるか、清潔を保てるかを、食器は倒れにくいか、
食生活に適しているかなどを確認して選びます。
入浴用自助具
入浴用自助具は設置してある場所が使いやすい方向にあるか、身体に当たる部分に不快感がないか、
持ちやすさ、握りやすさなどをチェックして選びます。
更衣用自助具
ボタンエイドは着ている衣類のボタンのサイズに対応できているかを確認します。
ソックスエイドは実際に試して使いやすさを見た方が良いでしょう。
整容用自助具
使いやすい長さと重さ、身だしなみを整える部分に届くか、握り部分は持ちやすいか、がポイントとなります。
自助具を選ぶ際の注意点
利用する人にとって使い勝手が悪いものを選ばない
利用する方にとって大きすぎるものや重いもの、機能が複雑すぎるものなどは選ばないようにしましょう。
また、見た目も重要です。
使いたくないような見た目のものは避けるようにしましょう。
使う方の気持ちも考えて導入するか決める
自助具は日常生活を自立させることを目的として使用されます。
しかし、自助具を導入されると人によっては
「もう障害は治らない」と宣告されてしまった気分になってしまったり、
障害者というレッテルを張られてしまったと感じてしまい、自助具を使うこと自体を拒否してしまうこともあります。
利用する人が自発的に使用できるよう配慮が必要ですし、前向きに利用できるものを選ぶことが大切です。
自助具を使って身体の他の部位を痛めないように気を付ける
使用した自助具によっては他の関節や筋肉に負担をかけてしまい、痛めてしまう恐れもあります。
二次障害を避けるためにも自助具の導入は慎重に、作業療法士などに相談しながら決めるようにしましょう。
自助具の使用や練習は専門家に相談する
自助具は何らかの理由で手足が麻痺したり、関節が硬くなって動かなくなるなど、
日常生活を1人で送ることが困難な方のために制作された日常をサポートする用具です。
自助具にはさまざまなものがあり、選ぶ際にも迷われることが多いかと思います。
人によって使い勝手など合っている製品が違うため、ひとりひとりに適したものを選び、
場合によっては調整することや自作が必要な場合もあります。
また、自助具を使用したり練習する場合は、医師やリハビリテーションの作業療法士など
専門家の情報を得たりアドバイスを受けることをおすすめします。
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