玄関の動作をサポートする玄関椅子と玄関の福祉用具・介護用品

 

玄関で靴を履いたり脱いだりする動作や玄関に上がるという何気ない動作でも、高齢になり足腰に不安が出てくるとバランスを崩して転倒してしまうことがあります。

 

靴の脱ぎ履きの動作はかがんだり、膝を曲げたりするため、身体に負担を感じてお出かけが億劫になってしまうこともあるでしょう。

 

そのような場合に玄関での動作を楽にしてくれるのが玄関椅子や福祉用具・介護用品です。

 

転倒事故の約半数が自宅で発生している

消費者庁によると高齢者の転倒事故の約半数が住み慣れた自宅で発生している、としています。

 

消費者庁に寄せられた65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報は5年間で275件にも上り、後期高齢者は前期高齢者の2.2倍にもなっていると公表しています。

 

このうち、8割以上が通院や入院が必要な怪我を負っており、頭、顔、首の擦傷、打撲傷等が多くなっていますが、その次に足の骨折も多く、骨折をした場合は要入院となる方が76%に登るなど、転倒事故によって深刻な怪我に繋がる可能性があることが分かっています。

 

消費者庁の発表では転倒事故の主な発生場所は浴室・脱衣所、庭・駐車場、ベッド・布団、玄関・勝手口、階段です。

 

玄関は段差が多い場所

玄関は段差が多く、高齢者の転倒事故が起こりやすい場所です。

 

特に伝統的な日本家屋では玄関の上がり框に大きな段差があることが多く、高齢者にとっては負担となります。
仮に段差が大きくなくても確実に安全に段差を乗り越えられるよう何らかの措置が必要です。

 

玄関の転倒防止には玄関椅子がおすすめ

靴を脱ぎ履きする動作はバランスを崩しやすく、転倒してしまう可能性があります。
そこで、玄関に「玄関椅子」を用意しておくと、靴の脱ぎ履きの際の転倒防止に役立ちます。

 

玄関での動作に不安を感じているという方は簡単に設置できる玄関椅子の利用がおすすめです。

 

玄関椅子のメリット

 

靴の着脱が楽になる

靴の脱ぎ履きはしゃがんで靴を履いたり、片足に重心を置くことになったりとバランスを崩しやすい体制になることが多く、転倒の原因となります。

 

椅子に座って靴の着脱をすればバランスを崩す心配がなく、膝への負担も少なくなり、安全性も高まります。

 

立ち座りの補助になる

足腰に不安がある方はしゃがんだ状態から立ち上がるときにふらついたりバランスを崩して転倒しやすくなります。
こういったときに玄関椅子があると椅子に座った状態から立ち上がることができて動作が楽になります。

 

上がり框の段差に座るよりも椅子に座った方が安全性が高くなり、お出かけがしやすくなります。

 

玄関椅子は工事不要で設置可能

通常、玄関椅子の設置には工事は必要ありません。
置くだけでその日から利用することができます。

 

ただ、玄関に十分なスペースがある場合は椅子を置けますが、スペースが無い場合には折り畳み椅子を工事で壁に設置することもできます。

 

取り付け工事の費用相場は約4万円程度～約5万円程度です。

 

玄関椅子の理想の座面の高さ

玄関椅子の最適な座面の高さは以下の式で求めます。

 

座面の高さ＝身長÷4

 

例えば身長155センチの場合、
155÷4＝約38.8
と求められますので、椅子の高さの目安は約38.8センチとなります。

 

とはいえ、この式はだいたいの目安をはかるものですので、計算式から導いた高さを参考にご本人が楽に立ち座りできる座面の高さを選ぶと良いでしょう。

 

腰に負担がかからないよう、座面は高めの寸法が楽です。

 

玄関椅子の選び方

玄関椅子を選ぶにはいくつかポイントがありますが、手すりの有無、収納の有無、高さ調節機能の有無で選ぶと失敗が少なくなります。

 

手すりの有無

玄関に椅子はあっても、手すりがあるかないかで使い勝手は大きく変わります。
足腰が弱い場合、椅子から立ち上がろうとしたときに負担に感じたりバランスを崩すこともあり得ます。

 

椅子に手すりがあれば手すりに掴まって立ち座りができるので安定性が高まります。

 

収納の有無

玄関椅子の中には収納付きのタイプがあります。
玄関は何かと物がごちゃごちゃとしがちですが収納スペースも限られています。

 

収納付きの玄関椅子であれば、安全性が高まるだけでなく、収納も増やすことができます。

 

高さが調節できるか

足腰に不安がある方向けの玄関椅子は高さ調整ができるかどうかも大きなポイントとなります。
デザインは気に入っていても高さが合わないと使いにくく感じてしまうこともあるでしょう。

 

適切な座面の高さは人それぞれですので、高さが調節できるタイプがおすすめです。

 

色は合っているか

体をサポートする目的といってもインテリアにも気を遣いたいもの。
色が玄関の雰囲気と合っているかも商品を選ぶ1つのポイントとなります。

 

木製の玄関椅子やナチュラルなデザインの商品も多数発売されていますので、お好みのデザインのものを選ぶと良いでしょう。

 

玄関の福祉用具

玄関用の福祉用具にはさまざまなタイプがあります。
玄関椅子と併せて利用することで玄関での動作がより安全になります。

 

ステップ台

玄関の段差にさらに一段設けることで上り下りがやさしくなる福祉用具です。
玄関の土間の上に上がり框に階段を付ける形で設置します。

 

高さ調節できるタイプや床面が靴下でも滑りにくい素材のタイプなどがあります。
また、長方形以外の形状や2段3段になっているタイプも存在します。

 

上がり框用手すり

ステップ台に手すりが付いたものです。
玄関の段差を越える際に、掴まる場所が欲しい方が身体を支えることができます。

 

両手すりタイプと片手すりタイプがあります。

 

玄関用手すり

玄関の屋内、屋外の玄関アプローチにも設置することができる手すりです。
玄関アプローチの階段の段差にも対応しており、安全に出入りをすることが可能です。

 

玄関椅子の設置でお出かけをより楽しく

足腰に不安を感じ、玄関での動作に負担を感じるとお出かけも億劫になり、家のなかにこもりがちになってしまいます。

 

玄関椅子で玄関の動作をサポートすることで、靴の脱ぎ履きの負担が減り、お出かけの意欲を高める効果も期待できます。

 

玄関用椅子は工事も不要で、設置したその日から使えるようになります。
玄関での動作に負担を感じている場合、負担は感じていなくても玄関で転倒の不安がある場合は設置を検討してみてはいかがでしょうか。