高齢の方や身体が不自由な方の寝起きを楽にしてくれるのが介護ベッドです。
介護ベッドにはいくつかの機能が存在しますので、身体の状態に合った機能を選ぶ必要があります。
同時に介護ベッドからの転落を防止するのがベッド柵で、こちらも使用目的により種類を選ぶ必要があります。
この記事では介護ベッドの選び方、ベッド柵(サイドレール)の種類や選び方をご紹介します。
介護ベッドの機能と種類
介護ベッドにはいくつか機能があり、身体の状態に合わせた機能のベッドを選ぶかが大切です。
介護ベッドの機能
介護ベッドには「背上げ機能」「膝上げ機能」「高さ調節機能」があります。
・背上げ機能
背もたれを上げる機能です。
電動で背もたれの傾きをお好みの位置まで起こすことができます。
ベッドで背中を起こすことで起き上がり動作が楽になります。
体が起きると視野が広がり生活意識が高まる効果も期待できます。
介護者にとっても体を起こす動作が楽になります。
・膝上げ機能
膝の部分を上げる機能で、背上げをするときに膝上げもしておくと体がずれるのを軽減することができます。
自分で体のずれを調整することが難しい方は膝上げ機能があると快適です。
足のむくみの軽減に効果が期待できるほか、介助者が体を起こすときに負担を軽減することができます。
・高さ調節機能
ベッドそのものの高さが変わる機能です。
立ち上りを楽にするほか、介護する人や医師の身長に合わせて介護や診察をしやすくすることができます。
介護ベッドの種類
介護ベッドの種類はモーターの数により異なります。
体の状態に合わせてモーターの数と位置を決めると良いでしょう。
・1モーター
背上げ機能、または高さ調節機能のどちらかが付いたベッドです。
・2モーター
背上げ機能と高さ機能両方が付いたベッドです。
・3モーター
背上げ、脚上げ、高さ調節の3つの機能が付いたベッドです。
介護ベッドの選び方
介護ベッドを選ぶ際には機能や種類以外にも考慮しておきたいことがあります。
設置する部屋の広さや利用者の身体の状態など、注意しておきたいポイントをご紹介します。
安全性
介護ベッド選びではきちんとした安全性が確保できているかどうかは重要なポイントです。
利用者の転落や挟まれ事故を防ぐ為にJIS規格により製品の強度や形状は細かく規定されています。
介護ベッドを選ぶ際には「JIS認証」を受けた商品を選ぶようにしましょう。
サイズ
ベッドのサイズは設置する部屋のスペースや利用者の体型を考慮して、適切なものを選ぶようにしましょう。
介護ベッドには身長150cm未満の方におすすめのミニサイズと、身長150~175cmの方におすすめのレギュラーサイズ、身長176cm以上の方にも十分に寝返りを打つことができるロングサイズがあります。
マットレス
マットレスにはさまざまな硬さがあり、利用する方の身体の状況に適したものを選ぶ必要があります。
ある程度自分で移動することが出来たり自立が出来る方には移動や起き上がりがしやすい適度な硬さのマットレスが適しています。
寝たきりの方には床ずれ防止用具として使用される体圧分散マットレスを選びます。
柔らかく、体重が分散しやすいという特徴があります。
ベッド柵・サイドレールとは?
ベッド柵はサイドレールとも呼び、ベッドのサイドフレームに取り付けて利用者が転落したり、布団などが落ちないようにするために取り付ける柵のことです。
ベッド柵は頭側、足側、中央など好きな場所に差し込むだけで取り付けることができます。
ベッド柵(サイドレール)の種類
差し込み式
差し込み式ベッド柵はベッドの隙間にベッド柵を差し込んで使用します。
軽量で抜き差しがしやすく、取り外しが簡単です。
折り畳み式
折り畳み式ベッド柵はレバー操作で柵を折りたたむことができます。
ベッドの上にいるときはサイドレールを使用したいけど、日中はベッドから降りていることも多く柵は不要という方には便利です。
一日中ベッド柵があると邪魔に感じる方にはおすすめです。
ロングタイプ・ショートタイプ
ベッド柵にはレギュラータイプのほかにロングタイプとショートタイプがあります。
レギュラータイプはベッド全長の半分の長さ、ロングタイプはベッド全長の3分の2の長さ、ショートタイプはベッド全長の3分の1の長さです。
ロングタイプはベッドからの落下防止には便利ですが、ベッドへ腰掛けにくいというデメリットがあります。
ショートタイプはベッドに腰かけやすくなります。
利用者のベッドの使用方法や介助者の使いやすさを考慮してサイズを選ぶと良いでしょう。
ベッド柵(サイドレール)のメリット
ベッドからの落下防止
加齢による身体機能の低下などで利用者がベッドから転落する可能性があります。
転落により頭を打ったり、骨折してしまった場合、寝たきりになってしまう可能性も否定できませんので注意が必要です。
ベッド柵があれば利用者のベッドからの転落を防ぐことができます。
また、これまでは布団を敷いて寝ていた方でベッドは落ちそうで怖い、と感じている方もベッド柵があるだけで安心して眠ることができます。
布団の落下防止
ベッド柵は掛け布団や毛布、マットレスなどの寝具の落下を防止する効果もあります。
マットレスが落ちてしまうと利用者も一緒に転落する可能性があり、危険です。
就寝時に左右にベッド柵を取り付けると布団がずれにくく落下防止になるため、安心です。
ベッド柵(サイドレール)の注意点
体重はかけられない
ベッド柵でまず注意していただきたいのが、サイドレールは手すりではないという点です。
ベッド柵はパイプの径が細いためしっかりと握ることが出来ない他、ベッドの取付穴に差し込んでいるだけですので、体重をかけてつかまろうとすると柵が倒れてしまう可能性があります。
あくまで転落防止用の柵ですので寄りかからないようにしましょう。
事故に注意
ベッド柵を使用する際には事故にも注意が必要です。
ベッドの電動リクライニングで背上げを行う際に腕が挟まってしまったり、夜にトイレに行った際、ベッドに戻って腰掛けようとした際にベッド柵があることに気づかずにお尻をぶつけてしまった、などという事故が起こる可能性がありますので、ベッド柵の設置位置やサイズには十分な注意が必要です。
介護ベッド、ベッド柵選びは専門家のアドバイスを参考に
介護ベッド、ベッド柵は利用する方の身体の状況・状態に合ったものを選ぶことが大切です。
選ぶ際にはケアマネージャーと福祉用具相談専門員に相談して、最適なベッドを選ぶようにしましょう。