ご高齢の方は段差や階段の上り下りの際に
自分では十分に足を挙げているつもりでも想定より上がっていないことがあり、転倒してしまうおそれがあります。
このような事故を防ぐためにも家の中の段差は最小限にしておくことが大切です。
そこで、介護保険で利用できる福祉用具の段差解消用品をご紹介します。
段差を解消すると良い場所
段差解消を実施する際は、まずは高齢の方の利用頻度が高い場所から優先的に設置してくようにしましょう。
寝室、浴室、トイレなどの水回りへは1日に何度も行き来する場所です。
このような場所に段差があると転倒リスクが高まります。
また、散歩や買い物など外出が多い方なら玄関の段差も解消しておきましょう。
大きな段差ほど解消する必要があると誰しもが考えますが、実はちょっとした段差ほど
つまづきや転倒が起こるケースが多いので注意が必要です。
特に2㎝程度の小さな段差が転倒リスクが最も高いと言われています。
家の中の小さな段差ほど解消していくようにしましょう。
段差を解消する福祉用具・介護用品
屋内用段差解消スロープ
敷居の段差を解消するためのスロープです。
段差の高さと幅にバリエーションがあるため、自宅の出入り口のサイズを考慮して選ぶことができます。
屋外用段差解消スロープ
玄関などバリアフリー化されていない場所の段差を解消するための製品です。
車いすで自力走行する場合の傾斜角度の目安は5度、段差のおよそ12倍の長さのスロープを選びます。
介助者による走行の場合は10度、段差の約6倍の長さのスロープを選びます。
上がりかまち用手すり
玄関の上がりかまち部分で昇降動作の安全を確保するための手すりです。
玄関の広さを考慮して最適なものを選びます。
手すりが片側1本のみのタイプと、両手でつかめるように2本あるタイプがあります。
玄関用踏み台
玄関の上がりかまちの段差を小分けにして上り下りしやすくした台です。
玄関の広さによりサイズを選ぶことができます。
階段用滑り止め
階段昇降時に滑って転倒することを防ぐための滑り止めです。
手すりの取り付けと併用すると効果的です。
昇降機
階段の昇降が困難な方が電動で昇降できる機器です。
工事を伴うため、住まいの環境やスペースによっては取り付けが困難な場合があります。
手すり部材
階段や廊下、浴室などに手すりを設置することで室内の歩行や浴室内での立ち座りの安全を確保することができます。
手すりの工事は介護保険の住宅改修対象となります。
福祉用具は介護度によりレンタルできないものがある
介護保険を利用してレンタルできる福祉用具は全部で13種目あります。
それぞれに適用基準が設けられており、その基準に合ったものに限りレンタルすることが可能です。
例えば要支援及び要介護1の方がレンタルできる対象用具は一部のみとなります。
対象介護度:要介護2~5
・車いす
自走用・介助用いす、電動車いす・電動四輪車
・車いす付属品
車いすクッション、姿勢保持用品、電動補助装置など車いすと一体的に使用されるもの
・特殊寝台(介護用ベッド)
サイドレール(ベッド柵)付き又は取り付けが可能なベッドで、背上げ又は脚上げ機能、もしくは一時的に使用されるもの
・特殊寝台付属品
マットレス、サイドレール、立ち上がりをサポートするL字型ベッド柵など特殊寝台と一体的に使用されるもの
・床ずれ防止用具
体圧分散効果を持つ床ずれ防止用の静止型マットレス、エアマットレス、ウォーターマットレス
・体位変換器
起き上がり補助装置、寝返り介助パッドなど要介護者の体位を容易に変換できる機能があるもの
・認知症老人徘徊感知機器
認知症外出通報システム、離床センサーなど
・移動用リフト
自力または車いすなどでの移動が困難な方のための工事不要の移動用リフト、バスリフトなど。
対象介護度:要支援1・2、要介護1~5
・手すり
工事不要で設置できる手すり
・スロープ
段差解消のための工事不要の設置・撤去が出来るタイプやスロープなど
・歩行器
歩行を補う機能と移動時に体重を支える構造を持つ固定型歩行器や四輪歩行車など
・歩行補助つえ
サイドウォーカー、松葉づえ、多脚つえ、ロフストランド・クラッチ
・自動排泄処理装置
ベッドに寝たままの状態で排泄処理をする装置
まずはケアマネージャーに相談する
福祉貸与サービスを提供できるのは地方自治体の指定を受けている「福祉用具貸与事業者」です。
事業者を選ぶ際にはケアマネージャー(介護支援専門員)に相談して決めます。
既に利用したい事業者がある場合もまずはケアマネージャーに相談する必要があります。
担当ケアマネージャーがいない場合はお住まいの地域の地域包括支援センターが窓口となります。
レンタルする福祉用具の種類は事業者の福祉用具専門相談員が
利用する方の身体の状態や自宅の環境に応じて福祉用具選びをサポートしてくれます。
福祉用具はレンタルと購入、どちらがお得?
福祉用具は全てが介護保険サービスの対象となるわけではなく
要介護度によって介護保険の対象外になることもあります。
また、レンタルでしか介護保険の対象にならないもの
レンタルはなく購入でしか介護保険の対象とならないものなどもあります。
福祉用具をレンタルする最大のメリットは経済面にあります。
特に介護用ベッドの価格は約8万円程度~約30万円程度と非常に高額です。
これを介護保険を利用すれば月に約1,000円程度でレンタルできるため、トータルでも費用の負担が大きく減ります。
利用者の身体の状態に合わせて福祉用品を交換することができるため
買い替えの必要なく常に心身の状態に合った福祉用具を利用することが可能です。
一方、購入した場合は、完全に自分の所有物となるので、汚れやキズ、故障などに関して気を遣わずに使用することができます。
また、レンタルは他の人が使ったものを使い回すことになりますが
購入では新品か中古品かを選ぶことができますので、人が使ったものに抵抗がある方には購入がおすすめです。
福祉用具はレンタルの方が圧倒的にお得なものもありますので
用具に合わせて介護保険を使ってレンタルするか、購入するかを決めると良いでしょう。
福祉用具相談員にアドバイスをもらいながら選ぶのがおすすめ
段差解消用品や車いすなどはホームセンターでも購入することができます。
しかし、要介護者の方が毎日使うものですので
事故などがないように福祉用具専門相談員にアドバイスをもらいながら適切な用品を選ぶことが大切です。
福祉用具を検討する際はケアマネージャーに相談しながら介護用品のレンタル・販売専門店を利用しましょう。