要介護の状態になると今まで使っていた生活用品ではなく、介護に適した製品が必要になります。
しかし、買い替えを進める際に気になるのは費用です。
そこで、介護保険の制度の活用がおすすめです。
対象となる福祉用具であれば、介護保険から支給されます。
この記事では介護保険で購入できる福祉用具について解説します。
介護保険の仕組みとは
そもそも介護保険とはどのような仕組みでしょうか。
介護保険とはその名前の通り、
介護が必要になった方が安心して生活できるように作られた国の制度です。
財源には40歳以上の方が納める介護保険料が充てられており、
国民が協力し合って介護を支える仕組みとなっています。
介護保険は対象者となればサービスを受けることが出来ます。
介護保険の対象者とは
介護保険の対象者は「第1号被保険者」と「第2号被保険者」に分けられます。
①第1号被保険者
第1号被保険者は65歳以上の方が該当します。
介護保険サービスの対象者となりますが、介護保険料の支払いも義務付けられています。
65歳以上になるとお住まいの自治体から
自動的に介護保険に関する被保険者証が送られてくるので大切に扱いましょう。
②第2号被保険者
第2号被保険者は40歳以上の方が該当します。
介護保険料の担い手となる被保険者ですが、
指定された疾病を患っている場合は介護保険の対象者となります。
指定された疾病は16あり、末期がんやパーキンソン病、変形性関節症などが該当します。
指定された疾病に該当し、
介護保険サービスを受ける場合にのみ介護保険の被保険者証が発行されます。
介護保険のサービスを受けてみよう
介護保険のサービスを実際に受ける場合には、どのような手続きが必要でしょうか。
介護保険のサービスを使う場合には「要介護認定」が必要です。
お住まいの地域を管轄する自治体に申請し、要介護に認定するかどうかを判定してもらいます。
身体機能や現在の生活状況などを審査し、認定されると介護保険サービスを受けることが出来ます。
なお、介護保険の認定は約1か月~約2か月程度かかることがありますので注意しましょう。
介護保険で購入できる福祉用具とは
では、要介護の認定を受けられた場合には介護保険サービスを使って
どのような福祉用具を購入できるのでしょうか。
早速ご紹介しましょう。
特定福祉用具
介護保険で購入できる福祉用具を、「特定福祉用具」と呼びます。
特定福祉用具の対象となっているのは5つの種類に分類されます。
この分類は介護保険を管轄している厚生労働省が行っているものです。
①移動用リフトのつり具
介護が必要になると足腰が思うように動かず、移動用リフトを使う機会があります。
移動用リフトは特定福祉用具の対象ではないのですが、
劣化しやすいつり具については購入しても良いことになっています。
なお、移動用リフトはレンタルの対象です。
②簡易の浴槽
折りたたみ式や持ち運び式の簡易浴槽は福祉用具として購入できます。
自宅のバスルームの改修は躊躇う場合でも、簡易浴槽なら購入できるのです。
週に何回かデイサービスの利用で介護施設にて入浴できる方などがお買い求めされます。
③入浴を補助するための用具
簡易の浴槽の他に、入浴を補助するための用具も対象です。
シャワーチェアやすのこ、入浴台や手すりなど、介助に必要とされる入浴グッズが対象となります。
あくまでも補助用具が対象ですので注意しましょう。
④腰掛用の便座
和式トイレの上に置いて洋式トイレのように使う腰掛用の便座も対象です。
また、洋式トイレの場合でも高さが必要で補助便座を設置する場合も便座部分は対象となります。
また、介護に便利なポータブル式のトイレも該当します。
⑤自動排泄処理装置の交換が可能な部品
レシーバーを当てて排尿をすると自動的に尿を吸引する装置があります。
尿瓶と比べると衛生的で便利な装置です。
この装置を「自動排泄処理装置」や「特殊尿器」と言いますが、
装置自体ではなく定期的に交換が必要な部品については購入対象となっています。
排泄物の処理をするホースやタンクなどが購入対象です。
このような①~⑤の福祉用具については特定福祉用具については介護保険で購入できます。
ご覧いただくとわかる通り、衛生に関わる製品が多いのが特徴です。
衛生を保つためには定期的に買い替えねばならない部品について購入対象となっています。
思わぬ部品も対象になっていることがあるので、
いつも心地よく介護をするためにも一度特定福祉用具についてはチェックしてみましょう。
介護保険に特定福祉用具の購入の申請をするには
では、特定福祉用具の購入を希望する場合にはどのように申請すれば良いのでしょうか。
介護用品はまず介護のプロであるケアマネジャーか、
介護保険の加入先である自治体の介護保険課や福祉課に相談しましょう。
現在の介護の状況や必要とされる道具に関して助言をしてもらえます。
その上で、福祉用具の取扱店にて商品の購入を行います。
製品によってはお取り寄せも必要なので、早めに依頼しましょう。
支払いに関しては一度全額を立て替える必要があります。
(基本的にほとんどの自治体は償還払いを導入しています。)
その後、再度介護保険の加入先である自治体に購入に関する費用の支払い申請を行います。
無事に認められると申請時に記入した銀行口座に金額の7〜9割が戻ってくる仕組みです。
申請書は「福祉用具購入費支給申請書」などと呼ばれています。
書式は自治体のホームページでダウンロードできることが多いですが、
福祉用具の専門店が申請を行うこともあります。
なお、特定福祉用具の購入は、
病院に入院しており医療保険の適用を受けている場合は保険の重複はできないため使えません。
また、介護保険サービスを使って施設に入居された場合も
自宅の介護に使うための介護用品の購入はできません。
この点を確認するためにも、
できれば購入前に一度介護保険加入先の自治体に相談をしておくと良いでしょう。
申請はハードルが高く感じるかもしれませんが、
衛生用品は我慢を重ねると辛い介護になってしまいます。
賢く活用し、円滑な介護を目指しましょう。
まとめ
介護保険の中で購入できる特定福祉用具は多岐に渡っています。
そのいずれも介護に関しての大切な用品ですので、
是非購入後はしっかりと申請を行って支給を受けましょう。
特に特定福祉用具の対象となる方は、自宅で介護を受けている方です。
適正な用具を使い、ご家族の負担も減らすことを目指しましょう。