日本の住宅では玄関アプローチや上がり框など、段差が多くあります。
歩行が困難な方や車いすの方にとっては家の出入りだけでも一苦労です。
そこで玄関をバリアフリー化することで
足の不自由な方や高齢者の方でもスムーズな出入りが可能となります。
ここでは玄関アプローチのバリアフリー化の方法と
工事不要で介護保険を利用してレンタルできる外用手すりについてご紹介します。
玄関アプローチのバリアフリー方法
玄関階段をコンクリートのスロープにリフォームする
玄関アプローチが階段になっていたり、段差のあるお宅では
手すり付きスロープを設置すると段差を解消することができます。
スロープの設置には土間コンクリート打設工事やスロープ新設工事が必要です。
ご自宅のスペースによりスロープの範囲などリフォームの内容が変わってきますので
現地調査と見積もりを入念に行う必要があります。
玄関扉を引き戸に変更する
車いすで出入りすることを想定した場合、玄関ドアを引き戸に変更すると出入りがスムーズになります。
玄関ドアを引き戸に変更する工事では既存のドアとドア枠を解体して新しいドアを取り付けます。
床面の段差を解消する場合はつり工法という工法を採用します。
上がり框の段差撤去リフォーム
古い住宅では上がり框が30センチ以上の段差になっている場合もあります。
上がり框のバリアフリーリフォームでは土間をかさ上げして段差を解消します。
手すり設置リフォーム
上がり框を超える際に手すりがあると便利です。
手すりは壁に取り付ける壁付手すりと壁が無くても設置できる床付け手すりの2種類があります。
置き型タイプの手すりを玄関先に設置する
工事不要で設置できる屋外用の手すりを玄関先に設置する方法です。
さまざまな形状があり、階段になっている玄関にも設置できる商品もあります。
置き型タイプはリフォーム工事をする必要がなく、介護保険を使ってレンタルできる福祉用具ですので
費用も少なくバリアフリー化することができます。
詳しくは次の項以降でご紹介します。
福祉用具の外用手すりとは
外用手すりは置くだけで簡単に設置できる手すりです。
重みがあり安定感のある底面をしていますので
工事不要で安定感のある手すりを簡単に設置することができます。
手すりが両側についているタイプ、高い段差にも設置できるタイプなど、豊富なバリエーションがあり
ご自宅の玄関の形状に合った屋外用手すりを利用することができます。
また、ブラケットを交換して簡単に延長できるタイプもあり
玄関アプローチの階段が長いお宅にも設置することが可能です。
手すりは要支援1~2、要介護1と認定を受けた方でも介護保険を利用してレンタルすることができます。
手すりの設置で期待できる効果
手すりを設置することでさまざまなメリットや効果を期待できます。
歩行を助けてくれる
高齢の方は筋力の衰えなどでスムーズな歩行が難しくなります。
膝や腰に痛みを感じる方は歩くことが億劫になってしまうこともあるでしょう。
このようなときに手すりを活用すれば足腰に掛かる負担を分散し、歩きやすくなります。
手すりにつかまることでバランスがとりやすくなるだけでなく
安心して歩くことができるため、安定した歩行をすることができます。
日常動作を助けてくれる
手すりは立ち座りの動作や方向転換などの日常動作をサポートしてくれます。
足腰が弱くなっている方にとっては日常生活の何気ない動作も大きな負担となります。
手すりにつかまって身体を支えれば身体への負担が少なくなり、スムーズに動くこともできます。
手すりの設置によりご本人が自分でできることが増えれば、介助者の負担も軽減することができます。
転倒・転落防止効果がある
運動機能や筋力が低下している方はバランスを崩しやすく
少しの段差でつまづいてしまったり転倒してしまったりします。
転倒リスクを低下させるためにも手すりの設置は多いに役立ちます。
手すりにつかまることで身体を支え姿勢を安定させることができるため、転倒や転落の防止になります。
また、咄嗟の時につかまる手すりがあれば家の中での事故を防ぐことができます。
使用する福祉用具はケアマネージャーに相談して選びましょう
福祉用具を選ぶ際にはケアマネージャーと福祉用具事業者に相談して決めていきますが
ご本人やご家族の方でも福祉用具の選び方は押さえておいた方が安心です。
福祉用具の選び方は以下の3つのポイントを押さえておきます。
1.利用するご本人の身体状況に合わせて選ぶ
2.どこで使う、何に使うなど利用環境やシチュエーションで選ぶ
3.誰が使うか?で選ぶ
この3つのポイントは手すりに限らずどの福祉用具を選ぶ際にも重要なポイントです。
ご本人の身体の状況に合っていなければ福祉用具が効果を発揮できないだけでなく
大きな事故に繋がってしまう可能性もありますので十分な注意が必要です。
次に利用環境を確認します。
事前にどこで使うかを決め、またどんな時に福祉用具を利用することになりそうかを想定しておくようにしましょう。
そして最後に誰が使うかを明確にしておきます。
使う方ご本人には介助者がいるのかどうかも重要なポイントです。
介助者の負担をできるだけ減らすことも考えて福祉用具を選ぶのが良いでしょう。
このような流れでケアマネージャーに相談すれば、ケアマネージャーもご本人に合った福祉用具を選びやすくなり
最適な福祉サービスを受けることが可能になります。
屋外用手すりの設置で安全なお出かけを
高齢になったからと言って外出が減るわけではありません。
逆に高齢になって病院など外出が増えたという方もいらっしゃいます。
そんな高齢の方や足の不自由な方にとって玄関の段差は危険性が高いものです。
屋外用手すりは届いたその日から設置することができ、玄関の段差の上り下りをサポートしてくれます。
介護保険を使った屋外用手すりのレンタルを希望している場合はケアマネージャーに相談して
福祉用具事業者のアドバイスのもと最適なものを選ぶと失敗がすくなく済みます。
あらかじめつかまる方向は左右どちらが良いか、両手でつかまりたいか、など
玄関の出入りのシミュレーションをしておくとスムーズです。